癒やしましょう。この針で!!~トリップしても根性で乗り切ります。
愛来は一人ずつ丁寧かつ、適切な処置を施し、針が必要な人には針を刺していった。
「隣町からわざわざここまで来て下さったのですか?」
「はい。こちらの治療院の噂は聞いていたのですが、なかなか来れず諦めていたところに店長がみんなの体が心配だから行ってみようと……いきなり押しかけるかたちとなってしまいました」
「みなさんは同じ仕事をされているのですか?」
「そうです。私達は装飾品の加工を行っていて、いつも細かい物を見ているから目も疲れるし、肩も懲りっぱなしで……辛くて辛くて」
「そうだったんですね分かりました。今背中や腰の状態を見ていきましたが、みなさん似たような症状ですね。うつ伏せの状態のまま針を刺していきますが、絶対に動かないで下さい」
愛来はそう言うと針を召喚し治療を始めた。
夕方には全ての治療が終わり、隣町の人達はその劇的な変化に涙を流しながら帰って行った。
喜んでもらえて良かったと愛来が一息ついたとき、体がぐらりと揺れ思わず両膝をついていた。
あれれ?
どうしたんだろう?
体が重い?
「愛来大丈夫か?」
「ウィルどうして?」
「ライデンから連絡を受けたんだ」
ウィルは愛来を横抱きで抱き上げる、すると愛来は安心したかのように意識を手放した。