癒やしましょう。この針で!!~トリップしても根性で乗り切ります。
次の日の朝。
リビエラが帰りの馬車の横で声を張り上げていた。
「あなたがウィル様の婚約者なんて認めませんわ。わたくし、あなたのこと大っ嫌いですわ」
「そうですか。私はリビエラ様のこと好きですよ。もうお友達です」
「なななっ、何言ってますの。友達……えっ、うれしい」
この反応、ツンデレだ。
「リビエラ様、今度は一緒にお出かけとかしましょうね。ギルちゃんも喜びますから」
「そ、そうね。ギルちゃんとなら出かけても良いわ。でもあなたとじゃないから」
「はい。楽しみにしています」
「だからあなたとじゃないって言っているじゃない」
リビエラから高笑いが消えていた。
リビエラ様と次に会うときはもっと仲良く出来たら良いなと思う。
そんなリビエラ様とリストナ公爵様は嵐のように去って行った。
自室にて愛来はウィルお茶を飲んでいた。
「愛来はリビエラと随分と仲良くなったな」
「はい。ツンデレな感じがとても可愛かったです」
ツンデレのわからないウィルが首を傾げたが、愛来はツンデレの説明は後回しにした。
今は……。
「ところでウィル。リビエラ様はウィルの婚約者だったと言っていましたが、どういうことですか?」
「ああ、リビエラが成人するまでに俺が結婚しなかったら俺をくれてやると、王と王妃が言ったんだ」
「王様と王妃様が!!」
「リビエラは俺のことが好きだ好きだと言っていたが、子供の戯れ言だと俺もだが、王と王妃も思っていたと思う」
そういえば、ウィルをくれる、くれないの辺りからサンルームでの王様と王妃様、目が泳ぎまくっていたような……。
可愛い姪っ子だもの仕方ないわね。
そう。晩餐会の後知ったのだが、リビエラ様はフィーナ王妃の妹の子供だったことが判明。家族同然の対応だったのは、あたりまのことだった。
姪っ子だもんね。
「そっか」
「ん?なんだ愛来、嫉妬でもしたか?」
「そっ、そんなこと……」
確かに……嫉妬した。
おかげで喧嘩までしてしまったし。
その後は仲直りして甘々な時間を過ごしたけど。
一人百面相を繰り返す愛来をウィルは楽しそうに見つめていた。
「嫉妬してくれたんだな。心配するな俺は愛来一筋だ」
ウィルは愛来の手を取ると唇を指先に落とした。