Sweet Love~極上に甘い恋~
と言うか、プライベートがない人なんていないでしょ!

心の中で叫んだわたしの声が聞こえたと言うように、
「アタシはないですよ」

大森さんが言い返した。

この人、頭おかしいんじゃないかしら?

30過ぎた男なのに一人称は“アタシ”で、そのうえプライベートがない…。

しかも誰もが振り返る美貌を持っているうえに腕っぷしのいいトロンボーン奏者って言うのが、何よりの不思議である。

「でも1つプライベートをあげるとするなら…」

そこで大森さんは言葉を区切った後、
「乃南さんと過ごすお時間ですかね」

そう言いながら、大森さんはわたしの前にできたてホヤホヤのオムレツを差し出した。

家事全般できるってことは、家事ダメダメのわたしにとっていい特典である。
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