君の音に近づきたい
「もしかして、今の、会話聞いてました……?」
「ああ、全部。最初から」
「す、すみませんっ! 出過ぎたまねを!」
サイアクだ。よりにもよって二宮さんに見られていたなんて。もうここは、ただ平謝りするしかない。
「ホントだよ。俺がどう言われてるかなんて分かってるって言っただろ」
「はい。すみません……」
もう一度深く頭を下げると、私の頭をポンポンと何かが触れるのに気付く。
「じゃあな」
もっと嫌味を言われると思ったけど――。
それだけ言って、二宮さんは行ってしまった。
そしてーー。
とうとう文化祭当日がやって来た。