OLユンファ。闇の左手。
地押し
[地押し]

経理作業をしている。
すかんぴんのオフィスに事務員たちが寄り集まりデスクパソコンを立ち上げている。

「そういえば、オールドルナには「地押し」がいたそうだね」とあたし。あたしはユンファ。

シリリンシャが椅子にすわり、番茶を飲みながら答えた。オフィスには赤熱したニクロム線の電気ストーブがかっか、と熱を発している。外の首都は春雪の重い雪がはらはらとまう。

「田畑の検知をおこなった方ですね」

「そうだね。ばあやはむかしの旧家で「地押し」が諸国を安行をするのを近くで見送った、とか」

むかしの民俗世界をあたしたちは後から追いかけているような気がするんだ。
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