やわらかな檻
籠の中の
どこまでも続くかのように思わせる長い、長い縁側に私は座っていた。
仁科の屋敷は迷路に似ている。
迷ったら出て来れない、まるで神話に出てくるラビュリントスのようだ。
一つ一つが無駄に広く、しかも使われていない部屋が多々ある。
出入りを禁じられた開かずの間、昔の武家屋敷のようなシステム。
夏は何故かひんやりと涼しく。
冬はどこか暖かい。
今ではどこかに隠されているのだろうと思う程度だが、昔はよく、このお屋敷のどこにクーラーがあるのかと不思議に思った。
しかし、この『離れ』の光景は見事だと思う。
少し首を動かすと、薄雲に隠れてぼんやりと光る満月。
その光に照らされて、白く見える夜桜が目に入ってきた。
ほのかに香る桜の匂いが鼻腔をくすぐり、私は足をぶらつかせながら小さく笑みを浮かべた。
仁科の屋敷は迷路に似ている。
迷ったら出て来れない、まるで神話に出てくるラビュリントスのようだ。
一つ一つが無駄に広く、しかも使われていない部屋が多々ある。
出入りを禁じられた開かずの間、昔の武家屋敷のようなシステム。
夏は何故かひんやりと涼しく。
冬はどこか暖かい。
今ではどこかに隠されているのだろうと思う程度だが、昔はよく、このお屋敷のどこにクーラーがあるのかと不思議に思った。
しかし、この『離れ』の光景は見事だと思う。
少し首を動かすと、薄雲に隠れてぼんやりと光る満月。
その光に照らされて、白く見える夜桜が目に入ってきた。
ほのかに香る桜の匂いが鼻腔をくすぐり、私は足をぶらつかせながら小さく笑みを浮かべた。