やわらかな檻
 つむじのあたりから指をくぐらせ、手櫛で梳いてさらさら零れ落ちていった髪の毛先は茶色味を帯び、手のひらに乗せて光に透かすとそれはより顕著になった。

 髪に隠れたうなじは首と同じ色だ。

 もともと色白で日焼け止めを塗って、時にはそのパステルカラーのワンピースに似合う麦藁帽子を被って、それでも少しだけ、日焼けしてしまった色だ。

 生白い自分の肌と比べれば差は明らか。

 外で遊ぶのも大好きなんだと、観察してみればすぐに分かる。

 本当に彼女は、頭が良い。
 人の気持ちを敏感に察知して振舞えるほど。


「涼しいならおやつのカキ氷は要りませんね?」
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