やわらかな檻
不謹慎なことを考えて良いなら、その仕草も可愛い。むくれていても、泣きそうでも、絶望していても。
「――泣いてなんか、いないわ」
訊いてなんかいないのに、彼女は気丈にもそう言った。
◇
遊び相手を門まで送って行った後、離れに戻るとちょうど良く侍女がいたので、借りていた草履をその場で返して自室に上がった。
自分の履物は持っていない。あれを次に履くのは一週間後になるだろう。彼女が遊び相手の役目を嫌にならずに、この屋敷へ来てくれれば、の話だけれど。
彼女が来るまでそうしていたように、また本のページを捲り出す。
「――泣いてなんか、いないわ」
訊いてなんかいないのに、彼女は気丈にもそう言った。
◇
遊び相手を門まで送って行った後、離れに戻るとちょうど良く侍女がいたので、借りていた草履をその場で返して自室に上がった。
自分の履物は持っていない。あれを次に履くのは一週間後になるだろう。彼女が遊び相手の役目を嫌にならずに、この屋敷へ来てくれれば、の話だけれど。
彼女が来るまでそうしていたように、また本のページを捲り出す。