幼恋。

僕の気持ちがわかったのか、椛はため息をひとつついて珍しく僕に笑いかけてきた。






「お前は前と同じでおりはのこと傍で守れよ。
俺は付き合ったからって傍に居れないし。
俺たちの役割は変わらねぇだろ」






椛はそう言って笑う。



それが何だか僕のことを信用してくれているような気がして少しだけ嬉しくなった。






「傍に居るよ、この先何があっても」



「そんなん俺に言うなよ気持ち悪い」






僕の言葉にそう言って笑った椛がやっぱり弟だけどかっこよくて、おりちゃんが選ぶのも無理ないと思った。



やっぱりそりゃ、椛に負けたのは悔しいけど…。



でも卑怯な手を使った訳でもないし。


何よりおりちゃんは気づいてなかっただけで椛のことずっと好きだったと思うし。




だから僕はせめて傍で支えてあげるだけでいいや。






「おりちゃんのこと、よろしくね」



「言われなくても」






ちょっと乱暴なところもあるし不器用だからもは不安もあるけど

優しいやつなのも知ってるから託そう。



僕はあくまでいいお兄ちゃん。



それでいいと自分に言い聞かせて、椛と有澤くんのいる場から離れた。