幼恋。
歩き出した旬佑について行くと、大きな恐竜の骨の前にやってきた。
「これ」
「そ、初デートの時にも見たやつ!」
「2人とも興味無いのに恐竜とか見たんだもんね」
「うんうん、ちなみにこれはティラノサウルスな」
「むしろこれしか知らないでしょ」
「あ、バレた?」
そんなことを言って旬佑が笑うとつられて私まで笑顔になる。
初デートのことが昨日のように思い出せてなんだか新鮮だなぁ。
「架子が好きだよ」
新鮮な気持ちになりながらティラノサウルスを見ていると、旬佑はそう言って笑った。
それには感謝の言葉しか返せないけど
いつか私も胸を張って好きだと返せる日が来たらいいな…。
そう、思った。
「そろそろ叶とおりはちゃん探すか!」
「そうだね」
少し気まずくなったところで2人を探し始めたけど
もう少し2人でも良かったかな、なんてのは今はまだ内緒。
これからはもっと積極的に旬佑との時間を作ろう。そう決めた日だった。