幼恋。
「椛!!!!」
そのあまりにも酷い姿を見た私は椛に向かってそう叫ぶと、椛は辛そうに目を開けて私を見て驚いた顔をした。
「おりは…逃げろ!
おいクソ野郎!おりはを離せ!!!」
椛はそう叫ぶと、どう見てももう動くのもつらそうなボロボロの身体で立ち上がって私の方に走り出す。
突然のことに不意をつかれたガラの悪いヤクザのような人達は急いで椛を追いかけてきて、捕まる寸前で椛はおじさんの足を蹴りあげた。
その拍子で抱き抱えられていた私は椛のそばに落とされ、そのまま椛に抱きしめられる。
「も、もみ…じ…!!椛!!」
「おりは!!何もされなかったか!!?」
私を抱きしめる椛をボコボコと殴る蹴るの暴行を加えるヤクザ集団。
その集団の攻撃から私を守るように庇ってくれる椛に涙が止まらなくて、私も必死に椛から外してもらった縄を振りほどいて椛に抱きついた。
「残念だなぁ…君の守りたいおりはちゃんはもう俺のものだよ」
私と椛が抱き合っていると、おじさんはそう言ってスマホの画面を見せてきた。
そこには気を失っている私と、おじさんが映っていて。
それはまさに繋がっている時の写真と
白い液体が私の中から溢れ出ている写真だった。
それを見た私は吐き気を催して、気分が悪くなる。
「お前…ぜってぇころす!!!!」
死にたい…。
大切な人にそんな写真を見られて、もう私は生きていけない。
そう思う絶望の淵の中、椛の叫び声がはっきり聞こえたあと
ヤクザ集団は椛の腹部に果物を切るような小さなナイフを突き立てた。