幼恋。
「も、椛…!!!」
「ぅ…」
刺された椛の苦痛の声が小さく漏れたのを見てこの世の終わりのように私は感じた。
私が生きているから椛はこんな目にあったんだ。
絶望する私と椛を引き裂くようにおじさんは私をまた抱き抱えて少し椛と離れたところに移動する。
「俺、おりはちゃんと付き合うためにこんな怖いお兄さんたちをたくさんのお金で雇って椛くんを拉致っておりはちゃんと接触出来るようにセッティングを頼んだんだよ。
でも彼は絶対に嫌だってスマホのIDも教えてくれないし、指紋認証出来ないように自分の親指を自分で噛んで怪我させたんだよ」
「椛…」
「でもずーっとずーっと暴力で物言わせてたら朦朧としだした椛くんはやっと教えてくれて連絡しておりはちゃんと一つになれた」
「椛…椛…」
おじさんが何か話しているけど、椛がうつ伏せでうずくまっているのが心配で心配でたまらない。
「自分のことより恋人。2人とも似てるね。
じゃあここでおじさんがおりはちゃんに選択させるよ」
「選択…?」
蹲る椛を助けるすべは無いのか、そんな気持ちでおじさんの顔を見るとおじさんはにっこを笑って言葉を発した。