幼恋。
【叶side】
おりちゃんがコーヒー牛乳を買いに走ってから僕は2人に向き直った。
「2人とも〜、僕言ったよね??」
2人とご飯を食べることになった時、僕は2人にある約束をしていたのだ。
「きょんきょんが沖田ちゃん好きっての内緒にしろ、だろ?
内緒にしてたじゃんー、言ってないだろ?」
そう、僕の好きな人がおりちゃんってのを内緒にすること。
旬佑は面白がるようにニヤニヤしながら僕を見てくるのを僕は知らんぷりをする。
確かにおりちゃんに直接僕が好きだとは伝えてない。
伝えてないけど…!!!
「僕と2人きりの時間作ってあげるみたいなこととか、おりちゃんは僕のこと好きだと思ってたとか!
バレたらどうするのさ〜」
絶対に隠し通さなくちゃいけないんだから!
と強く念を押すと、2人はまだ不満そうな顔をする。
「言うて沖田ちゃん可愛い可愛いって上級生から人気じゃん?
この先告白とかされるかもしれないし、それより先にきょんきょんとくっついた方がいいんじゃねぇかと思うんだよなぁ」
「上級生だけじゃないよ。
おりはは気付いてないけど、同級生からも可愛いって隠れたところで人気なんだよ!」
「モタモタしてたら別の男に取られるぞ〜?
幼稚園の頃から好きなんだろ?」
「……そうだけど…」
わかってる。
おりちゃんが人気なのは。
人気だけど椛が怖くてみんな手を出せないけど、椛が居なかったらモテモテだったのもわかってる。
それを本人は全く気づいてないけど。
「まぁ、ほかの男に取られる不安より、弟に取られる不安の方が大きいんだよね」
自分でそう言って思わずため息が出てしまった。
椛は恐らくおりちゃんのことが好きなんだと思う。本人から聞いたわけじゃないから分からないけど。
でもあれだけ人間なんて興味無いどころか嫌いって感じなのに、おりちゃんだけは執着してるもん。
その証拠に近づく男は許さないとでも言うような威嚇してるし。兄である僕にでさえ。
まぁ暴力を振るうのは何がしたいかは分からないけど。