幼恋。
それから椎の病院に運ばれて、睡眠、栄養不足だと言われて点滴をする羽目になった椛。
「全く自分もダメになっちゃ誰がおりはを探し出すんだか」
そう溜息をつきながら病室に入ってきた椎。
そんな椎に笑って頷くと、椎は困ったような顔で寝ている椛の頭を撫でた。
「ごめんな、おりはの為に」
「椎…」
椎は椛に謝りながら、泣きそうな顔になっている。
それがあまりにも悲しくて、辛いのは実の母親の話も出来ないまま会えなくなった椎も一緒なのに
そうやって椛や僕にも優しくしてくれるんだ。
「ずっと考えてたんだが、今年中に見つからなかったらもう諦めようと思う」
「今年中って、今月じゃん!」
「そう、叶も受験に集中できないだろうし、椛もこのままじゃ倒れる。
だから今年中に見つからなかったらおりはのことは諦めよう」
椎は苦しそうな顔でそう言うと、静かに笑った。
諦めるって…死んだと思うってこと…?
そんなの簡単に無理だよ…。
でも確かにこのままじゃみんな倒れるまで探すだろうし…。
椎の言葉に何も返せずに居ると、椛がモゾモゾと辛そうに起き上がった。