幼恋。




ふと、目が合ったのは椛だった。






「おりちゃん?……って椛」






立ち止まった私に気づいた叶ちゃんも椛を見てなんとも言えない顔になる。



椛は、知らない女の子と腕を組んで歩いていてその子と付き合ってるんだと人目見てわかった。




女の子は不思議そうな顔をしたあと、叶ちゃんを見て何かを納得したのかにっこり笑うと私に手を差し出す。






「初めまして、おりはちゃんかな??
私前に椛くんに助けて貰ったことがある1つ年下の隣の高校に通ってます、岡田音羽です」



「あ、私は沖田おりはです」



「おりはちゃんと同じような事件になる前に何とか助けて貰ったの。
今は椛くんと付き合ってるよ、よろしくね」






愛想よく笑う音羽ちゃんに私も手を差し出して握手をする。



同じような事件ってことはそういうことだよね…。
椛、音羽ちゃんのことは助けたんだ。






「音、行くぞ」



「おりはちゃんとお兄さんにあったのに素っ気ないね?」



「別にもうおりはとはなんの関係もねぇし、叶も元から仲良くねぇから。」



「そうなの?」






椛は私の顔なんて一切見らずに音羽ちゃんにそう言って立ち去ろうとしているのに少なからず傷ついた。




音羽ちゃんのこと、音って呼んでるんだね。






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