幼恋。
お互いのために別れて、まだ忘れられてない私とは違って椛はもう他の人がいる。
それも私と同じような事件に関わって助けた子だなんて。
私のことは助けてくれなかった…。
そんな嫉妬のような醜い感情が湧いてくるのを私にはそんな思う資格なんてないと堪えながら2人の後ろ姿を見ていると
叶ちゃんはまた私の手を引いて笑っていた。
「おりちゃん」
「ご、ごめんぼーっとしてた」
身体も汚された私が心までこんなに醜くなっているなんて知られたくなくて笑って誤魔化すと、叶ちゃんは少し真剣な顔になった。
「まだ、椛のこと好き?」
真面目な顔の叶ちゃんはそう質問してくる。
好き。
きっとまだどうしようもないくらい好き。
でも、私じゃどうしようも無い。
私はもう椛を好きだなんて、近づいていい綺麗な子じゃない。
そんな私が質問に答えられずに俯くと
少しの間があって私の体はふわりと優しく叶ちゃんの腕の中に抱きしめられた。
「おりちゃん、僕はおりちゃんが大好きだよ。
ずっとずっと何があってもおりちゃんが好きだよ」
「え…?」
突然抱きしめられて言われた言葉に私の頭は一瞬思考停止を起こす。