幼恋。
【叶side】
おりちゃんと付き合えた。
その日の夜、僕が椛に電話をかけてそう伝えると椛は『そうか』と少し寂しそうに呟いた。
『本当に良かったの?』
『あぁ』
そう。
ちょうど昨日椛から音羽ちゃんと付き合うことになったと報告されて、おりちゃんのことは自分じゃ守ることは出来ないから任せたと言われたんだ。
だから今日旬佑たちの波に乗って告白した。
正直、おりちゃんの恐怖が消え切ってないし精神的にもまだ安定できてない状態で言うのはリスキーだったけど何とか受け入れてもらうことが出来て良かった。
「椛、本当にこれでいいの?」
『しつけーな。何度も聞くなよ。
おりはのこと、傷つけるなよ』
「わかってるよ」
切ない椛の声にどんな顔をしているのか分からないけどきっと悲しい顔をしているんだろうなと容易に想像が着いた。
『じゃ、頑張れよ』
報告以外は必要ないと思ったのか、椛はそう言ってそうそうに電話を切った。
切れた電話を眺めながら、僕は椛から託されたおりちゃんを絶対に傷つけないよう。
むしろあの絶望の中から助け出そうと気合を入れたのだった。