幼恋。
消えない記憶
【おりはside】
叶ちゃんとお付き合いを始めた週明け。
あの日、架子ちゃんはやっぱり旬佑先輩とお付き合いを始めたとメッセージが来ていてほっとした。
でもまだ私は叶ちゃんと付き合ったことは言ってなくて、叶ちゃんと2人には直接会って伝えようと決めていたのだ。
「それで、改まって話って何??」
昼休み、机を向かい合わせにしてお弁当を食べながら架子ちゃんは神妙な面持ちで私に聞いてきた。
そんなに真剣な顔をされると少し言い出しにくいけど、架子ちゃんには沢山お世話になっているからと勇気を出して口を開く。
「実は…叶ちゃんと付き合うことになったの」
「えっ!?」
架子ちゃんの真剣な顔に言いにくくも私がそう切り出すと、架子ちゃんは驚いて教室中のみんなが振り返るほどの大声を上げた。
あまりの大声に本人もびっくりしたように口を抑えて、今度は私に近づいて小声のように小さい声に変わる。
「王子から告白されたの?」
「うん…。私なんかと…って思ったけど気づいたら頷いちゃってて…。ダメだよねこんな…」
私の言葉を聞くと、架子ちゃんは少し考えるような仕草をしてから教室にいる椛の方をちらっと見てまた私に視線を戻した。
「まだ木下くんのことが好き?」
「…」
「絶対責めたりなんてしないから本当の気持ち言って?」
叶ちゃんと付き合ってる身分でそんなこと言っていいのか。
迷いつつも架子ちゃんの優しい声掛けに言葉は発さず私は頷く。