幼恋。
おりはと付き合う前はおりはに悪い虫がつかないようにこれでもかってくらい自分を犠牲にしてまで守ってて
おりはと付き合ってからはこれでもかってくらい大切にしてて
おりはと別れを選択することさえも自分を犠牲にしてまでだなんて。
もっといい方法があるようにも思えるけど木下くんにとっての守り方はそれしかないんだろうな…。
しかも愛情表現も下手で多分おりはにあんまり伝わってないだろうし。
あまりにも不器用で愛情深い木下くんに返す言葉もなく見つめていると、木下くんは嫌そうな顔で私を睨んだ。
「あんまり見んじゃねぇよ。
それに、おりはには叶がいるから大丈夫だ」
「王子?」
「あぁ。俺はあいつにおりはのことをもう任せたからな」
話はそれだけだと言わんばかりに私から顔を背け、有澤くんの待つ机の方に戻って行った木下くん。
王子と付き合ってることを知ってる風だったけど、きっとなにか2人で交わした会話があるんだろうな。
確かにそれでないとあの控え目で慎重な王子がこのタイミングで告白するなんて変だと思ったもん。
やっぱり不器用な木下くんの愛情表現に苦笑いしつつ憎めない人だなと私は思った。