幼恋。
3人は俺と松村を目視すると、この空気感からなにか察したのか黙りこくってしまった。
「木下くん、俺はおりはちゃんのことがずっと好きな木下くんがかっこいいと思ってたよ」
「残念だったな、かっこよくなくなって」
「おりはちゃんを救えるのは木下くんだけだと思うよ」
松村は叶がいるのにそんなことを言ってのけるがやめて欲しい。
俺が例えかっこよくなくてもいい。
でも、今の彼氏は叶だから、叶の前で俺だけが救えるようなことは言うなよ。
俺はもうおりはのこと叶に託したんだから。
そんな気持ちで俺はもう松村には何も返さず、叶の肩をぽんと叩いてドアへと向かった。
「しっかりやれよ叶」
大丈夫。
俺じゃなくても叶が何とかしてくれる。
確かに逃げてるだけかもしれない。
未だに目の前でおりはがあのクソオヤジに犯される光景が目から離れなくて毎日夜うなされる。
だからこそ、俺自身もそういう行為に直面した時フラッシュバックして音が求めることは何も出来ないんだ。
強がったって弱い俺なんかより、目の前でその光景を見てない叶と一緒の方がお互いに楽だから。
そんなことを考えながら俺は保健室を出た。