幼恋。
架子ちゃんと恋バナみたいなことをしながら帰ると、家にはさっき友達と遊ぶと言っていた椛が帰ってきていた。
「椛?友達と遊ぶって言ってなかった?
早かったんだね」
お互いのお父さんはまだ帰ってきてないし
お母さんたちも買い物に行ってるみたいで誰もいないリビングに座る椛に声をかけると
だるそうにケータイを弄りながら答えてくれた。
「女がしつこくて面倒になって帰ってきた。」
「そ、そうなんだ」
さっき言い合ってたあの人のことかな?
なんて思い返しながら、椛の前に腰をかけるとチラッと私を見てきた。
「お前いつも昼飯叶と食ってたのかよ」
「え?うん、今日から架子ちゃんと旬佑先輩って人も一緒になったよ」
「へえ、楽しかったかよ」
「楽しかった!
椛も一緒に食べる?」
珍しく叶ちゃんの話を振ってきた椛に提案してみると、持っていたケータイを顔面に投げつけられた。
「いて…」
「馬鹿じゃねぇの。叶と飯とか家だけで充分だっての」
「そう?」
「そもそもお前も飽きないな。
毎日家でも叶と一緒なのに昼まで一緒とか」
「飽きないよ?
私は叶ちゃんも椛も好きだから飽きるってのはあんまりないかな」
なんてね、と私が笑うと
呆れたようにため息をついた椛。
今日は落ち着いてるな、疲れてるのかな?
「そう言えば、椛は彼女作らない主義ってさっき言ってたけどどうして?」
一瞬訪れた間を埋めるように私がそう聞くと
椛はまたもや面倒くさそうに顔を歪める。