幼恋。
【椛side】
『おりちゃん、親のこと受け入れたよ』
そう、叶から連絡があった俺は密かに良かったと安堵した。
沢山悩んで沢山傷ついたから、両親や叶の優しさに触れて元気になっていってほしい。
そんなことを考えていると、隣にいた音が顔を覗き込んできた。
「どうしたの?嬉しそう」
音はかなり元気になっていて、もう怖い夢も見なくなったと言うくらいまで回復した。
付き合ってはいるものの、俺はいつまでもおりはを忘れられない最低な人間だ。
「まぁちょっとな」
「へへ、変なのー」
そう言ってカラカラと笑う音はベッドにころんと寝転がった。
音は俺がおりはを好きなのを知ってて付き合うことを望んだ。
私を幸せにして罪を償ってと。
それなのに未だにおりはが忘れられず、交わることはおろか、キスさえもできない俺を何も言わずに受け止めてくれる優しい子だ。