幼恋。
「椛くん、好きだよー」
そう言って手をぎゅっと握る音に手を握り返すことしか出来ない俺。
結局俺は誰も幸せにできないんじゃないか。
俺といても幸せになれないんじゃないか。
そんなことを毎日思いながら過ごしている。
「おやすみ」
ベッドに横になったまま音は目を瞑ってスースーと寝息を立て始めた。
おりはのあの事件以降、俺は俺の世界はまるで動いていないような感じだ。
ずっとあのまま時が止まっていて、俺だけ世界に取り残されてる。
そしてずっとおりはから助けてと叫ばれる。
そんな感覚が永遠と続くのは俺の罪を忘れずにいさせてくれる。
「はぁ…」
今日もまた眠れない夜が始まった。