幼恋。
気晴らし、と称してやってきたのはゲームセンター。
なんでまたここに…もっとあったでしょ…。
とか思ったけど多分有澤くんが来たかっただけだと思う。
「おりは、太鼓しよう?」
「……いい」
「んー、じゃあおりはの好きなぬいぐるみあるよ!取る?」
「いい」
着くなり有澤くんは嫌がる木下くんを連れて遊びに消えたあと、私がおりはにそう聞き続けるけどおりはは首を横に振るだけ。
それどころかおじさんに背丈が似てる人を目で追ったりなんかしてるのが気になった。
「おりはちゃん〜、ほら俺が取ってやったぞ?」
私が困り果てていると、いつの間に取ったのか、おりはの好きなぬいぐるみを手にした松村くんが笑っている。
松村くんクレーンゲーム得意なんだ…。
「お!おりはちゃん似合うね〜!」
「……ありが、とう…」
無表情なおりはにも明るくそう言ってぬいぐるみを手に持たせる松村くんは優しくてやっぱりまだおりはのこと好きなんだろうなと思った。
あんなに女遊びしてたのにおりは好きになってしなくなったし、おりはを諦めると言ったあともないもんな…。