幼恋。
「松村くん、おりは見てて?」
「どこ行くんだ?」
「私も何か取ってくる!」
おりはを喜ばせたくて。
残り何ヶ月かしかないおりはとの時間をもっと大切に使いたくて松村くんに負けずにクレーンゲームをしようとかけ出す。
「んーー、できるかなーー…」
あんまりクレーンゲームしたことない私が狙いを定めても全然ダメで。
でもなんとしてでも取りたい私はそりゃもう無我夢中でしていると、ふわっと後ろから私のしているボタンを取られた。
「っ?!」
「下手くそだな。」
私が驚いて振り返ると、それは木下くんで口にはあろうことかタバコをくわえていたのにも驚いた。
「ほれ、あと1回くらいしたら取れんじゃねぇの」
木下くんは器用にも落とし穴との間にぬいぐるみを持ってきていて本当にあと1回したら取れそうな所にある。
ってそんなことより…
「タバコ!ダメだよ!」
確かにタバコとかお酒とか刺青とかしてそうだけど!でも本当にしてるなんて…。
私がそう言うと木下くんは面倒くさそうに私を見たあとニヒルな笑みを浮かべる。
「気の所為じゃね?」
木下くんはそんなことを言ってヒラヒラ手を振って有澤くんの元に戻った。
絶ッ対気のせいじゃないしちゃんと煙出てたし匂ったもん。