幼恋。
木下くんへの疑問を抱えながらもぬいぐるみを取っておりはの元に戻ると、松村くんと話しているところだった。
「へぇ、じゃあおりはちゃんは昔花屋さんになりたかったんだね〜可愛い」
「うん、でももう違うよ」
「俺は〜昔ホストになろうと思ってた!」
「え〜…」
「でも今は普通に会社員でいいかなぁと思ってるな〜。営業とか俺向いてそうじゃん?」
「そうだね」
楽しそうか、と聞かれると微妙だけどおりはがちゃんと言葉を交わしてるのを見て少しだけ松村くんに嫉妬。
私でも会話はほとんどできてなかったのに凄いなって気持ちもあるけど。
「あ、ほら、架子ちゃんがぬいぐるみ持ってきてくれたよ」
私に気づいた松村くんはおりはにそう言うと、おりはも私を見て少しだけ微笑んでくれた。
「架子ちゃん」
私に笑いかけてくれたおりはは前と変わらないような笑顔でなんだか泣きたい気持ちになるのを堪える。
きっと松村くんと話して少し気分が変わって今は落ち着いた精神状態なのかな…。
こんなに可愛くて優しくて純粋な子をあんな表情にした犯人が許せない。
そんな犯人はもう出てきてていつおりはがまた狙われるか分からないのが憎い。
「このぬいぐるみ大事にするね」