幼恋。
その後私がふと気づいた時にはもう家にいて、目の前には泣き出しそうで怒りそうななんとも言えない顔の椛が立っていた。
どうやってここまで帰ってきたかは覚えてない。
「なんでだよ…」
「楽しかったよ」
「巫山戯んなよ…」
「私の意思だからいいじゃん」
そう、私は自分の意思とは裏腹にそんな言葉を紡いで椛に浴びせてしまった。
途端に椛は涙をボロボロと流して壁をドンッと殴る。
「ごめんな…俺がしっかりしてないからだ」
弱いところも見せない涙も見せない椛がこんなに泣くってことはよほど悪いことをしたんだとは理解した。
頭でわかっても行動には移さない私はやっぱり変で、自分で自分が分からないの。
「おりは、頼むよ…もう行くなよ…」
「それは…無理だよ」
「なんでだよ…」
自分でも行かない方がいいのはわかる。
わかるけど行ってしまう。
ごめんなさい椛。
私たくさん椛を傷つけてるね…。