幼恋。
俺はおりはにそう言うと、口付けを落とした。
海の水の味のする塩っ辛い口付け。
「愛してる」
自分でも恥ずかしいそんな言葉を言おうと思ったのはきっとこれが最後だから。
「私も椛を愛してる。
信じて貰えないかもしれないけど私はずっと椛だけ」
「信じてる。」
そう言ってまたキスすると、嬉しそうに笑ったおりはがやっぱりたまらなく可愛かった。
「おりは、このまま2人で流れるまで流れてみねぇ?
別に今すぐ死ななくてもいいだろ?
2人で手繋いで浮いてさ、どこかたどり着いたりしたら面白いだろ?」
こうして海に浮かんでいると2人きりのような感覚になってそう提案すると
優しく微笑んだおりははこくんと頷いてくれた。
「うん、楽しいかも。
絶対に離れたらダメだよ」
「おう、じゃあベルトで巻き付けとこうぜ」
死ぬ時も一緒なんだから離れるもんか。
そんな気持ちで水の中で動きにくいのを必死に自分の腰に巻いているベルトを取って俺とおりはに繋げた。
絶対に取れないよう、固く固く。
「椛、大好きだよ」
そう言って笑うおりはに流れる体。
死ぬかどこかに行くか。
多分死ぬだろうけど後悔はないな。
おりはの死ねるのならそう思えるんだ。