幼恋。




「とりあえず付き合おう?
今どきみんな付き合ってから好きになる人がほとんどだよ。
両思いになってからって言ってたらいつまでも恋愛できなくない?」






谷くんは私の頭を撫でながら優しい口調でそんなことを言ってきた。


付き合ってから好きになる?

本当にみんなそんな感じなのかな?



経験のない私は谷くんの言葉によく分からなくなってしまった。






「と、言うことで、付き合ってくれる?
俺絶対大事にするよ?」



「えっと…」






谷くんの言っていることは正しいのかもしれない。

でもやっぱりそんなの相手に不誠実な気がして、断ろうと口を開きかけたところで


谷くんは私の答えるより先に再度言葉を発した。






「はい!じゃあ今日からよろしくね?
おりは!」



「え、あの!」



「それじゃあ気をつけて帰るんだよ!」






谷くんは無理やり話を切ってそそくさと教室から出ていってしまった。



困ったことになってしまったなぁ…。



とりあえずどうすることも出来ない私は
みんなのまつ玄関へと足を進めた。






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