幼恋。
「私はおりはのウエディング姿見たかったな〜」
奏斗くんに続いて架子ちゃんはそう言うけどもう見られないんだ。
生きているのか生きていないのかは分からない。
でもきっともう僕たちがおりちゃんにも椛にも会えることはないんだと思うとどうしようも無い喪失感に駆られるのは変わらない。
「おりはちゃんは本当に奇跡的に可愛かったよなぁ」
松村くんはそういって思い出すように上を向いて笑った。
松村くんはずっと女遊びしてたみたいだけど、おりちゃんを好きになってやめたし
なんなら未だに引きずっているらしいからね。
「僕も松村くんも架子ちゃんもおりちゃんに骨抜きだね。
奏斗くんは椛に骨抜きだけど」
そんなことを言って僕が笑うと、みんなもクスッと笑って少し明るい空気に戻ってくれた。
「なんか俺だけホモみたいじゃん〜。
ライクだよ、ラブじゃないから〜」
「でも椛にメロメロじゃん?」
「そうだけどね〜」
のらりくらりと掴みどころのない話し方の奏斗くんはそう言うと、ある一点を見つめて固まった。
「え、幻?」
奏斗くんの目線の先を辿って、みんなが固まったあと
誰かが言葉を発するより先に声が響いた。
「人を死人扱いすんじゃねぇよ」