幼恋。
9年前のあの日、俺とおりはは海に浮かんで死ぬつもりだった。
だが、波にさらわれてだいぶん遠くまで流された時2人とももう体力の限界ですぐ溺れる形になった。
だが、運良くなのか運悪くなのか、漁師の人に見つかって助けられたのだ。
それから漁師の人の家に少しお邪魔して、幸いにもテレビなどの機械が無い家だったから俺たちの情報もなく通報されることもなかった。
しばらくして、そのお宅からは離れ、田舎の山奥にどうにかこうにか雨をしのげる家を作り上げ
風呂とかもそこで五右衛門風呂のようにして薪で炊いて沸かして
そんな生活をしながら、20歳になると同時に俺のコンテストに出していた作品が賞をとって金を稼げるようになったのだ。
田舎の山奥で暮らして穏やかな俺とおりは以外誰もいない生活をずっと続けていると
だんだんおりはの情緒も安定して、去年やっと普通に生活できるくらいまで回復したのだ。
回復して1年経って、風の噂で架子と旬佑が結婚すると聞き、その結婚式の服を俺がデザインした。
絶対に俺のデザインなのは内緒で。
「そんで、ようやく登場ってとこだな」
俺が事の成り行きを簡単に説明すると、叶は驚いたように目を見張って呆れたような顔になった。
「なにそれ、心配してたんだけど」
「はは、わりぃな。
でも俺らもそろそろ籍入れようと思って親に挨拶しに戻ってきたんだよ。
家ももう決めてあるしな」
そうだ、籍を入れるから挨拶に来た。
ついでに生存報告。