幼恋。
【おりはside】
私たちが顔を出すと喜んでくれたみんなに私は幸せものだと再確認した。
何があっても見捨てなかった椛がいて、ずっと待っててくれた友達がいる。
こんなに幸せなのに、あの事件だけで全てがダメになったような気になっていた過去の自分を怒りたいよ。
でもあの時は本当に自分で自分を制御出来なくて自分も他人も怖かったんだ。
でもあの時、死なずに助けられて、何かと長年死にたがる私をここまで立ち直らせてくれた椛には本当に感謝。
今でも時々思い出して苦しくなるけど、それは何とか乗り越えてる。
まぁ正直自分がおかしかった頃の記憶は曖昧なんだけど。
「おりは、よかった、よかったよ〜!!!」
「架子ちゃん、心配かけてごめんね。
結婚本当におめでとう。」
架子ちゃんはきつく抱きついて泣きながらそう言うのに私も涙が出る。
私の唯一の女友達。
いつまでも大切な人。
「木下くんと籍入れるの?」
「うん、これからお父さんたちに会いに行って入れるつもり」
今までずっと連絡もなかったやつがわざわざ籍を入れると報告しに来るなんてって思われるかもだけど、そこはしっかりしておきたいと椛が言っていたから。
「でもそれが終わったらすぐ戻るつもり」
椛が沢山デザインを応募してたくさん入賞したり、デザイン会社を立ち上げてたりで収入も安定し
今いる山の上に一軒家を建てる。
そこはここからすごく遠いけど、それでも椛と2人なら生きていける気がするんだ。
「場所は教えてくれないよね?」
「…ごめんね」