幼恋。
「ちょっと来いよ」
椛から耳元でそう囁かれて自分でも少し顔が赤くなるのがわかった。
昔から椛から触れられたり、近くにこられると顔が火照るんだよね…。
そんな私の気を知ってか知らずか、椛は私と手を繋いで自分の部屋へと歩き出す。
「おりちゃん!大丈夫?」
「大丈夫だよ、ありがとう叶ちゃん」
椛に連れていかれる私に叶ちゃんが心配そうな顔で聞いてきたから、安心して欲しくて笑い返すと
もっと心配そうな顔を深める叶ちゃん。
やっぱり叶ちゃんには椛からよく暴力されてるの知られてるんだろうな…。
まぁ、叶ちゃんも椛と喧嘩したら私と同じようなものなんだけど。
「椛怒ってる?」
「見てわかんねぇかよ嘘つき」
「ですよね…」
嘘つき、には少し胸が痛くなった。
確かにそうだよね、椛の許可なく彼氏になってたわけだし…。
椛は本当は傷つきやすい性格なのも知ってるのに私が傷つけてどうするんだろうか…。
自分の罪をひしひしと感じながら
椛の部屋へと入る。