幼恋。
そう言って突如現れたのは満面の笑顔の谷くん。
「谷くん!?どうして?」
「俺も部活帰りに部活仲間と来てたら、おりは見つけたから来たんだよ」
谷くんの言葉に後ろを見ると、確かに部活帰りっぽい人達がいる。
それを見て谷くんがバスケ部なのがわかった。
「谷くんがいいなら、谷くんと2人で回ったら?」
バスケ部なのか〜なんて呑気なことを私が考えていたら、架子ちゃんがそう提案してきた。
私と谷くん2人で?
でも……と、谷くんを見ると指で丸を作って私の手を取る。
「俺は大丈夫!おりは借りていい?」
屈託のない笑顔の谷くんに聞かれた架子ちゃんと旬佑先輩は頷いて
叶ちゃんは顔を逸らしてしまった。
それをOKだと受け取ったのか、谷くんは私に笑いかけると手を繋いだまま歩き出す。
せっかくみんなで来たのに、別行動して怒ってないかな?
「おりはとデートだ!嬉しいなぁ」
私の不安な気持ちは、谷くんの満面の笑顔で少しだけ吹き飛んだ。
とりあえず今はちゃんと谷くんと向き合ってみようかな。