幼恋。
【おりはside】
あれから花火が終わると、谷くんが家まで送ってくれて
私が家の中に入ると、椛がリビングに居た。
「椛丁度良かった!
お土産だよ」
丁度帰ったら椛のために買ってきたりんご飴を渡そうと思ってたから渡すと
短くお礼を言いながらりんご飴に齧り付く椛。
昔からお祭りは嫌いだと言って行かなかった椛だけど、最初にりんご飴をお土産で買ってあげると喜んだからそれ以来買ってくるようにしているのだ。
「お前さぁ好きでもないやつと付き合うの辞めれば」
りんご飴を齧りながら、椛は私を見つめてそう言ってきた。
確かに自分でも向いてないとは思う。
谷くんと向き合いたいけど上手く向き合えない。
今まで友達とかほぼ居なかったから付き合い方がいまいちわからなくなってるのかもしれない。
でも…。
「今日、抱きしめられた時、大事にしてくれてる感じがしたから私もしっかりと向き合いたいの」
私もしっかりと椛の顔を見て伝えると
なにか考えるような沈黙の後
齧っていたりんご飴を私の口に突っ込んできた。
「あとはお前が食え」
椛から突っ込まれたりんご飴で言葉を返すことが出来ないまま
椛は自分の部屋へと戻っていってしまった。
どうしたものかな…。