幼恋。
口にほおばったドーナツを飲み込んだ架子ちゃんは、なにやらケータイをいじってその画面を私にみせてきた。
「ほら、旬佑と学校で撮った写真の中に谷くんとその由佳子って子が手繋いでうつってるの」
「ほんとだ」
昼休みに見た女の人とは髪色とか雰囲気は違うけど、顔は同じ人が谷くんと手を繋いでいた。
未だによく状況が分からない私に、架子ちゃんはもうひとつ画像を見せてくれる。
それはさっきの女の人で、金髪にピアスを何個もしているのと
黒髪で大人しそうなのの同一人物とは思えないような由佳子さん?の写真だ。
「どうも、高校入学して木下くんに惚れた由佳子さんは木下くんの周りにいる女の子みたいに姿を変えて木下くんにアピールしたみたいだね」
「そ、そうなんだ…」
「でも木下くんに振られ続けてもしつこくしたけど、完全に相手にされなくなってからは諦めたみたいだよ」
「……」
「多分それで彼女だった由佳子ちゃんが変わったのも別れたのも木下くんのせいだ〜みたいな感じだったんじゃないかな谷くん」
「なるほど…」
架子ちゃんは一体どこでそんな詳しい情報を仕入れているのかと思うほど色んなことに詳しい。
そして分かりやすく説明してくれたから私にもある程度はわかった。
だから椛に嫌がらせをしたかったと。
でもなんで椛への嫌がらせが私と付き合うことなんだろう??