幼恋。
「おりはちゃんって木下と付き合ってんの?」
「椛?」
「そうそう、王子じゃなくて悪魔の方」
松村くんの質問に私は首を横に振る。
よく椛とか叶ちゃんと付き合ってるのか聞かれることが多いけどそんなふうに見えるのかな…?
「そーなんだ!君たち3人幼なじみなんでしょ?しかもひとつ屋根の下!エロいよね〜」
「いやいや…」
全くもって何がエロいのかわからない私は困ってしまって言葉が出ない。
そんな私の反応を見た松村くんはくつくつ笑いながら私の頬に手を当てた。
「君たち3人は美形だって校内で有名だからねぇ、俺実はおりはちゃん狙ってたんだよね〜」
「どういうこと?」
「ん?こういうこと」
松村くんはそう言うと、頬に当てていた手で私の顔を引き寄せ、自分の顔を近づけてきた。
あ、まずい。
そう思って私がかわそうとした瞬間
ダン!とドアを開ける大きな音が教室に響いてきた。
「おりは」
ドアを乱暴に開けて入ってきたのは椛。
椛が入ってきたおかげで、松村くんの動きも止まり
その隙を見計らって私も松村くんから距離をとる。
何をしようとしたかはハッキリは分からないけど、身の危険を感じた私が椛を見つめると
椛の眉がギュッと寄せられて私の方に歩いてきた。