幼恋。
架子ちゃんが教室から出ていくと
松村くんが驚いた顔で椛をみる。
「浮気の事実教えた俺より言うこときついね〜…木下くん本当悪魔だな〜」
「知るか。
明らかに元気ないのを見せるのが悪ぃだろ」
「いやぁ〜ビビるわ〜」
松村くんはそう言って、こわいこわいと呟きながら作業を開始した。
でも、私には椛の今の行動は思いやりに見えて椛の耳元にそっと近づいた。
「本当はそんなこと言って元気出るまで休んでてってことなんでしょ?」
だって、架子ちゃんを傷つけたいなら浮気を知った時点で松村くんみたいに本人に言うはずだもん。
それをしてなくて、落ち込む架子ちゃんにあんなことを言ったのは間違いなく思いやりだろう。
「さぁな、お前も早く作業しろよな」
椛は肯定も否定もせず、少し離れたところで見守っていた有澤くんの所へといってしまでた。
椛は世界一不器用じゃないかってくらい不器用だからみんなにその優しさが伝わらないんだよね。
それは勿体ないことだけど
私だけが知っているってのも悪くないかもなぁ。
なんて思ったりして。