入れ替わったら彼の愛情をつきつけられました。
イラスト作成に使う道具さえあれば、場所は関係なく、人と接することも少なそうだ。


となると、やはり問題は美緒の仕事にありそうだ。


最近ではオンラインに切り替わりつつあるが、パソコン上でも顔を写されるのは困る。


なにせ、今美緒の顔は陽菜になっているのだから。


「こっちもメールや電話での仕事を優先させることにします。まったくできないわけではないので」


イベント会社なのにイベント会場に行くことはできない。


それは辛いことだったが、ちょうどイベントが小規模になったところでよかったと考えることにした。


「私のアパートの住所を教えますね」


美緒はアパートの住所をメッセージで陽菜に送り、部屋の鍵も陽菜に渡した。


通帳や印鑑といって貴重品はすでにデータ化してあるので、部屋にはない。


それに、相手の身元がわかっているからできることだった。


「ありがとうございます。私の住所ですが――」


「知っていますから、大丈夫です」
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