入れ替わったら彼の愛情をつきつけられました。
陽菜の言葉をさえぎって美緒は言った。


ハッとして陽菜がスマホから顔を上げる。


美緒は涼しい顔で「柊さんのお宅は知っています」と、ハッキリと伝えた。


本当は心臓がバクバクと音を立てていたけれど、顔に出ないようにポーカーフェイスを保つ。


「そうですか……」


陽菜はなにか聞きたそうな表情を浮かべたが、すぐに美緒から視線をそらせた。


さすがに笑みも消えている。


少し意地悪だったかな?


と思いながらも、優越感が胸に広がっていく。


「鍵だけお願いします」


そう言って右手を差し出すと、陽菜は「はい」と、小さな声で頷き、鍵を美緒の手の平に置いたのだった。
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