入れ替わったら彼の愛情をつきつけられました。
「お弁当作るんだった!」


大きな声を上げて時計を確認。


もう11時だ。


これから作って職場に届けて、間に合うだろうか?


焦りながらもエプロンをつけてキッチンに立つ。


いつも陽菜がやっていることをしないと、大河に怪しまれる。


もし自分が陽菜でないことに気がつかれたら、この部屋を追い出されてしまうかもしれない。


そんな不安な気持ちがよぎった。


けれど普段からお弁当は作ったことがない美緒。


懸命におかずを手作りしてもなかなかうまくいかない。


卵焼きを焦がしてしまったり、ウインナーの皮がはじけて不恰好になったりする。


自分の不器用さかげんを呪いながらも、どうにかお弁当を作り終えることができた。


が、時刻は12時を過ぎてしまっていたのだ。
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