入れ替わったら彼の愛情をつきつけられました。
自分は別に陽菜とやり合っているわけじゃない。


なぜか魂が入れ替わってしまったからここにいるだけだ。


そう思うことにして、ちゃんと椅子に座ってお弁当を見つめた。


ほら、こうして見ると自分にしては上出来じゃない？


おかずもしっかり入っていておいしそう。


ここまで頑張れたのだって初めてかもしれない。


自分を励まし、ウインナーを一口食べる。


パリッとした皮が香ばしくて美味しい。


「うん。上出来！」


これならもう少し練習すれば大河に食べてもらえるかもしれない。


なんて、淡い期待を胸に抱く。


「なぁんてね。そんなのできないに決まってるけどね」


今は陽菜の姿だから大河がご飯を食べてくれているだけだ。


元の姿に戻ったらもう食べてもらう機会もなくなるだろう。


美緒はなにも考えなくていいように、どう見ても量の多いお弁当を口の中にかき込んだのだった。
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