入れ替わったら彼の愛情をつきつけられました。
陽菜が花が咲くように笑う。


それは自分の顔だというのに、ひきつけられるものだった。


自分にもあんな表情ができるのだと、美緒は驚いて自分の顔をまじまじと見つめた。


「ありがとうございます! 入れ替わった相手が美緒さんでよかったです!」


「な、なに言ってるんですか。入れ替わりなんてしないほうがいいに決まってます」


「あははっそうですね!」


朗らかに笑う陽菜を直視できなくて美緒は立ち上がって冷蔵庫を開けた。


自分の部屋の冷蔵庫だし、勝手にサイダーをおかわりしたっていいだろうと思った。


でも……冷蔵庫の中に入っている見覚えのないタッパーに動きを止めた。


「あ、それ作り置きの料理なんです」


「へぇ。でも、こんなに沢山?」


陽菜が料理上手だということはもうわかっている。


でも、毎日家にいるのにここまでつくり置きする必要があるだろうか?


「もしも体が戻ったときのことを思って」


「え?」


「美緒さんお仕事急がしそうですし、少しでも役に立てたらと思って」
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