入れ替わったら彼の愛情をつきつけられました。
思わず怒鳴っていた。


シンと静まりかえる室内。


陽菜が唖然としてこちらを見ている。


ダメ。


止めないと。


そう思っても止まらなかった。


自分が陽菜になっての数日間、必死で過ごしてきた。


陽菜のようにしないと追い出されるとか。


陽菜がなにもできない子なら2人は別れるかもしれないとか。


姑息なことばかり考えてきた。


それなのに陽菜は……自分のために、料理をしてくれていた。


それを素直に受け取ればいいのに、できない自分がいる。


それが一番情けなくて悔しかった。


美緒は血がにじむほど下唇をかみ締めて、アパートを飛び出したのだった。
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