天然お嬢と双子の番犬さん



聞こうと思ったけど、のらりくらりで流されて聞けないまま歩く。


そう言えば先輩達来なかったなぁ。今日は喧嘩で忙しいとか?それとも、もう帰ったって思われたかのどっちかかな。毎週火曜日は鞠と遊ぶ日ですぐ帰るから。


校外へ一歩踏み出したところで、和が体を屈め耳元で囁く。



「今日は寄り道しないで帰るよ。お嬢」



なんか用事あったかな。
二人にはあるのかも?


頷くと、両側から手を繋がれた。

二人から手を握ってくるのは珍しい。
いつもは私からだもんね。


左側にいるのが湊。
右側にいるのが和。


二人共、凄く警戒していた。



「また誰かいるの?」



私じゃわからないけど。
二人ならわかるのかも。



屈む二人は両側から囁いた。




「心配いらねぇよ」

「僕達が守るから」





…それって、やっぱりいるって事だよね?



こんな流暢に歩いてていいの?早歩きとかの方がいい?


和に耳打ちすると、笑って左右に首を振った。




「こういう時は堂々としていた方がいいんだよ。隙を与えた方が相手にも隙が出来るからね」




へぇ…そうなのかぁ。


今まで気づいたら逃げようとしてたから、捕まってたのかな。次から気を付けよっと。


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