天然お嬢と双子の番犬さん
大きな木に向かって猛ダッシュ。
和を引っ張りつつ、裸足で庭に出た。
猫さん!もう少しだから!頑張ってね!力尽きないでねっ!?
「和!早く!」
「お、嬢‼僕が見てくるから着替えて!」
話を聞かぬまま、木の真下。
見上げるが猫の姿がない。
え?ええ?
なんで?もしかして落ちちゃったの?
この高さじゃ、流石の猫でも怪我してしまうだろう。一応近くも確認したけどいなかった。
「や、やまと…どうしよう…猫さんが…」
「ッ…分かった。分かったから、泣かないで」
涙目になった私を和が抱き寄せた。
もっと早く来ていれば…、
──ガサッ!
真上から葉の擦れる音がした。
「っ、みなと!」
「…お嬢?」
なんで木に登ってるの!?
飛び落ちてきた湊が抱えていたのはサバトラの子猫。
「猫が…は?その恰好、」
「流石湊──‼」
思いっきり抱き着いた。