天然お嬢と双子の番犬さん
憂鬱な若頭
***
──夜、
和と湊は竜二に呼ばれていた。
「情報屋から話を聞いた。
ルーフスは今になって上がってきたイタリア系マフィアだ」
竜二が着物の袖から茶色の小瓶を出した。中には錠剤が数個入っているようだ。
「昼間の馬鹿共が持ってたもんだ」
「ああ、あの時の馬鹿ね」
五十嵐組の敷地内で花を誘拐しようとしていた連中の事である。
竜二は瓶から錠剤を出した。
ピンク色、ハート型のクスリ。
そしてもう一つ。
紙に包まれた同じ色の粉状の物を二人に向けた。指で少量取り舐める。
和と湊の顔が歪んだ。
「…セックスドラックか」
「しかもただの物じゃないね」
竜二が頷く。
「最近巷で流行ってるクスリらしい。即効性が強く、媚薬の十倍の効果もあるって話だ」
「もしかして、このクスリを配ってるのがルーフス?」