天然お嬢と双子の番犬さん
「ああ、日本じゃこんなもん流れねぇからな。海外製の特注品だ」
「馬鹿猿が持ってた訳はなんだ」
湊から溢れる殺気。
黒いオーラ。
「…花に使うつもりだった。そう言っていた」
バリッ、
ガラスの音が響く。
和の持っていたガラスのコップが割れた。
「……あー…ごめん親父。壊しちゃった」
「奇遇だな。俺もぶっ壊したばっかなんだよ。まーた花に怒られるなぁ」
ガラスの破片を拾いながら言う和。
湊の方はコップにひびが入っている状態だった。もう少し力を入れれば確実に割れる。
「その雑魚がお嬢に飲ませるつもりだったんだろうね~?」
「…花に懸賞金が掛かってた」
「「あ゛?」」
舌打ち交じりの声に竜二は「やめろ」と一括した。
「依頼元はルーフス。金額はそれほど高くねぇ…だがな、五十嵐組に下剋上出来る機会だと思い上がってやがる。最近無駄に花がさらわれてんのもそのせいだろ」
「チャンス…ねぇ。甘く見られたもんだね」
「ただの死にぞこないだろ」