天然お嬢と双子の番犬さん
首筋に触れる湊の指。頬を触るのは和の手。
「ま、待って!」
顔が赤くなってる気がする。
のぼせた!きっとのぼせたよ!
上がらないと!早く!
「ひゃぁ!?」
左肩に痛みが走る。何故か昼間に噛まれた時より痛く感じた。
「湊、お嬢が痛いって」
「……噛んだだけだ」
噛んだって…え?今の痛みが?
──じゃあ昼間のは何したの?
和の唇が右頬に当たる。そこは丞くんがしてくれた場所と同じ。
「ッ…丞くんと同じ事しないでよ!」
「「は?」」
凄い低い声だったし、オーラが怖いです。
「同じって何」
「や、まと顔怖い…」
「言え」
「湊…!声怖い!」
近い所で怖い顔と耳元で怖い声辞めて‼吃驚するぐらい怖いんですけど‼
──ゾクッ、
身震いした。二人から向けられる殺気と混ざった別の鋭い感情に。
…なに?今までこんな事なかったのに。
初めてかもしれない。
二人の殺気に恐怖を感じたのは。
「僕と同じ事されたの」
言葉が出なくて頷いた。