天然お嬢と双子の番犬さん
***
五十嵐竜二は混乱していた。
蒸気が立ち込める中、頭の中を整理するので思考が止まり、動きも止まっていた。
竜二の頭の中は、
世界一愛する娘(裸)、俺の娘を後ろから抱きしめる部下(裸)、俺の娘の両手首を握っている部下(裸)、娘の顔が真っ赤(のぼせた)、娘涙目(蒸気と汗)──…、
「あ゛ぁん?」
把握。
竜二の額には怒りマーク大量発生中。ドスの効いた声が響く。
「あ、パパ!」
花が笑顔で言ったが、竜二にはフィルターが掛かっていた。
涙目で助けを求める花にしか見えていない。
「今三人で入ってて…それで、」
竜二には別の言葉に聞こえる。
”花が入っていたら急に来て…それで…”
「身体が前と違うから。限界なんだって」
「ちょっと待ってお嬢。単語で話さないで。お願いだから」
”花の身体が食べ頃だって…どうしようパパ…花食べられちゃう…!助けて!パパ…!”